多子世帯の大学無償化:3人目が認定される条件【2026年版】
結論:3人目が認定されるカギは「扶養する子どもが同時に3人以上いること」
多子世帯の大学授業料支援(修学支援新制度)で3人目の子が認定を受けるための最大のポイントは、生計維持者の扶養する子どもが同時に3人以上であることです。2026年10月1日時点でも、この数え方が要件の中心です。
「3人目の子が大学に進学したから」というだけでは不十分で、上の子が就職・独立して扶養を外れると要件を満たさなくなる場合があります。2025年度(令和7年度)からの枠組みでは、授業料・入学金の減免に所得の上限がありません。2026年10月1日時点(令和8年度)も同じです。「所得の上限がない」は減免の家計基準についての話であり、申請しなくても全員が受けられるという意味ではありません。減免には上限があり、施設費・教材費・通学費は対象外です。授業料の一部補填であり、実質負担がゼロになる制度ではありません。
この記事では、条件の詳細・手続きのステップ・よくある疑問をQ&A形式で解説します。
多子世帯特例(第IV区分)の基本をおさらい
修学支援新制度は、低所得世帯を支援するために2020年度に始まりました。2024年度の改正で第IV区分(多子世帯)が新設され、2025年度(令和7年度)からは扶養する子どもが3人以上いる世帯の授業料・入学金の減免に所得の上限がない状態へ拡大されました。2026年10月1日時点(令和8年度)も、この枠組みが続いています。
減免に所得の上限はありません。これは家計基準の話であり、申請しなくても全員が受けられるという意味ではありません。給付型奨学金は第1〜4区分に応じた月額です。収入が第4区分を超える多子世帯、または本人と生計維持者の資産合計が5,000万円以上3億円未満の多子世帯は、授業料等減免の対象になりますが、給付は0円です。
支援内容(2026年10月1日時点)
| 支援の種類 | 国公立大学 | 私立大学 |
|---|---|---|
| 授業料の減免(年額上限) | 最大535,800円(約54万円) | 最大700,000円(70万円) |
| 入学金の減免(初年度のみ・上限) | 最大282,000円(28万円) | 最大260,000円(26万円) |
| 給付型奨学金(第4区分・自宅通学・月額) | 7,300円 | 9,600円 |
| 給付型奨学金(第1区分・自宅通学・月額) | 29,200円 | 38,300円 |
注意:「大学無償化」という表現が一般的ですが、減免には上限があります。施設費・教材費・通学費・生活費(仕送り)は対象外です。授業料の一部補填であり、実質負担がゼロになるわけではありません。JASSOが示す大学の上限(単位未満四捨五入)は、国公立の入学金28万円・授業料54万円、私立の入学金26万円・授業料70万円です。
出典:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「多子世帯支援について」「給付奨学金の支給額」、文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(2026年4月時点)
3人目が認定される具体的な条件
条件1:扶養する子どもが同時に3人以上いること
「子ども3人以上」の数え方は、年齢だけではありません。JASSOは、申込時に申告した生計維持者の「子ども」の数と、住民税情報の扶養親族数のうち小さい方が3以上であり、かつ本人が扶養されていることを見ます。
| カウントされる子 | カウントされない子 |
|---|---|
| 扶養に入っている大学生・高校生・中学生・小学生・乳幼児 | 就職・独立して親の扶養を外れた子 |
| 学校に通っていない小さい子ども | 婚姻して世帯を分離した子 |
| 学生世代(19〜22歳。18歳の早生まれを含む)で、給与収入123万円超160万円以下の子。本人以外は別途申告が必要 | 給与収入が160万円を超える子(学生世代でも対象外) |
| 学生世代以外で、給与収入が123万円超160万円以下の子 |
年齢だけでは決まりません。 就職して扶養から外れた兄姉は、原則カウントしません。令和8年度住民税を用いる判定では、扶養親族にならない所得の学生世代も、下の表の範囲なら数えられます。同じ収入でも、学生世代以外は数えません。
令和8年度住民税からの「子ども」の数え方
特定親族特別控除の創設を受けて、令和8年度住民税を用いる判定から、学生世代(19歳〜22歳。18歳の早生まれを含みます)は、扶養親族にならない所得でも一定の範囲で「子ども」に数えられます。JASSOが示す目安(給与収入のみの場合)は次のとおりです。
| 年収(給与収入のみ) | 学生世代の本人 | 学生世代の本人以外(きょうだい) | 学生世代以外 |
|---|---|---|---|
| 年収123万円以下 | 子ども(扶養親族) | 子ども | 子ども |
| 年収123万円超160万円以下 | 子ども | 子ども(別途申告が必要) | 対象外 |
| 年収160万円超 | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
きょうだい分(本人以外)で年収123万円超160万円以下に当たる場合は、別途申告が必要です。年収160万円を超えると、その子はカウントできません。学生世代以外は、年収123万円を超えると数えません。JASSOは、2027年度に大学等へ進学する予約採用の申込を行った人について、生計維持者の令和8年度住民税情報を参照し、きょうだいが「子ども」に数えられる可能性がある場合は申告書類の案内を送ると案内しています。詳細はJASSO「多子世帯支援について」と、在学校の窓口で確認してください。
条件2:大学等に在学していること
支援を受けるのは大学等に在学している子(被支援者)本人です。「3人目の子」が大学に通っていても、上の子が扶養から外れて子どもが3人未満になると、要件を失う場合があります。
条件3:在籍する大学等が対象機関であること
修学支援新制度の対象校(認定を受けた大学・短大・高専・専門学校)に在籍していることが必要です。対象校かどうかはJASSOの公式サイトで確認できます。
手続きの流れ:いつ・何を・どこに提出するか
Step 1:在学する大学を通じて申請する(毎年4〜5月)
修学支援新制度の申請窓口は在学する大学の学生支援課や奨学金担当窓口です。JASSOや文科省に直接申請するものではありません。
| 時期 | 手続き内容 |
|---|---|
| 4月(進学・進級時) | 新規申請または継続申請の書類提出 |
| 5〜6月 | 大学が書類を審査・JASSOに送付 |
| 7〜9月 | 認定通知が届く(支給は認定月から遡って適用) |
| 毎年10〜12月 | 翌年度の家族状況・収入の再確認 |
Step 2:提出する主な書類
初年度(または家族状況が変わった年)に必要な書類の例です。大学によって異なるため、在学校の指示に従ってください。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 家族状況確認書 | 扶養している子の氏名・生年月日・在籍校等 |
| 住民票(世帯全員) | 同一世帯の確認 |
| 在学証明書等(兄弟姉妹分) | 高校・大学等に在籍している兄弟の在籍証明 |
| 収入に関する書類 | マイナンバーカードまたは源泉徴収票等 |
扶養子の人数が変わった場合(上の子が就職した、新たに子が生まれた等)は、速やかに大学の担当窓口に届け出ることが必要です。
よくある疑問 Q&A
Q1:上の子が4月から就職したら、3人目はその年から対象外になる?
A:就職した子が扶養を外れ、扶養する子どもが3人未満になると、要件を失う可能性があります。
ただし、「いつの時点で判定するか」によります。年度の途中で扶養から外れた場合、当該年度の認定がどう扱われるかは学校・JASSOの確認が必要です。翌年度以降も、残る子どもが3人未満なら対象外になる可能性が高いです。新しい子どもが生まれたり、学生世代のきょうだいを申告して3人に戻ったりする場合は、改めて確認してください。必ず外れるとは限りません。
Q2:上の子が大学4年生で、下の子2人が高校生と中学生の場合、3人カウントされる?
A:扶養する子どもとして数えられるなら、大学・高校・中学・小学校など学校段階は問いません。
大学生が1人・高校生が1人・中学生が1人でも、3人として数えられれば第IV区分の対象です。給与収入が160万円を超える子や、学生世代以外で123万円を超える子は数えません。
Q3:双子の場合、1人目・2人目ではなく「同時に2人」として数えられる?
A:双子は同時に在籍するため、それぞれが扶養子としてカウントされます。 双子のどちらかが3人目の子ならば、同時に扶養3人の要件を満たします。
Q4:親が離婚している場合、片方の親の扶養に入っている子だけで数える?
A:原則として、申請する学生の「生計維持者(主に経済的に支えている保護者)」の扶養子として数えます。 両親が離婚しており一方の親の扶養に入っている場合、その親の扶養下の子で数えます。詳細は大学の担当窓口か JASSOに確認してください。
Q5:第IV区分(多子世帯)の認定を受けると、給付型奨学金の額はいくら?
A:在学校が国公立か私立か、自宅通学か自宅外通学か、所得の区分によって異なります。 多子でも給付は満額ではありません。第4区分(多子世帯に限る)の月額は、第1区分の約4分の1です。所得が第4区分を超える多子世帯、または本人と生計維持者の資産合計が5,000万円以上3億円未満の多子世帯は、授業料等減免は上限まででも給付は0円です。
| 在学校 | 通学形態 | 第4区分(月額) | 第1区分(月額) |
|---|---|---|---|
| 国公立大学 | 自宅通学 | 7,300円 | 29,200円 |
| 国公立大学 | 自宅外通学 | 16,700円 | 66,700円 |
| 私立大学 | 自宅通学 | 9,600円 | 38,300円 |
| 私立大学 | 自宅外通学 | 19,000円 | 75,800円 |
出典:JASSO「給付奨学金の支給額」(2026年10月1日時点。支給額は令和6年度と同様)
Q6:上の子が学生で、アルバイト年収が123万円を超えたら3人目のカウントから外れますか?
A:令和8年度住民税を用いる判定では、学生世代(19〜22歳。18歳の早生まれを含む)で年収123万円超160万円以下でも「子ども」に数えられます。 きょうだい分は別途申告が必要です。年収160万円を超えると対象外です。学生世代以外は、年収123万円を超えると数えません。申告の要否はJASSOと大学窓口で確認してください。
毎年の確認事項:扶養の変化に注意
多子世帯特例は毎年の家族状況の確認が必要です。以下のタイミングで扶養子の変化が生じた場合は、大学の担当窓口に速やかに届け出てください。
- 上の子が就職・独立した(扶養から外れる)
- 新たに子どもが生まれた(扶養が増える)
- 上の子が留学・休学した(在籍状況の変化)
- 離婚・再婚など世帯構成が変わった
認定後に家族状況が変わった場合、過払いが発生すると返還を求められる可能性があります。 変化があればすぐに届け出ることが重要です。
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出典・参考資料
- JASSO「多子世帯支援について」(令和8年度住民税の子どもカウントを含む)
- JASSO「給付奨学金の支給額」
- 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
- 文部科学省「令和7年度からの多子世帯に対する大学等の授業料等減免について」(PDF)
- 文部科学省「令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等減免)に係るFAQ」(2026年9月14日更新・PDF)