2026年度の教育費制度はどう変わる?就学支援金・児童手当・大学無償化まとめ
結論:2026年度は教育費補助の「3大改正」が同時に効いている——家庭への影響は大きい
2026年度(令和8年度)は、子育て世帯の教育費に関わる制度改正が複数重なった年です。2026年10月2日時点では、次の3つはすでに施行済みです。これから始まる改正ではありません。
- 就学支援金の所得制限撤廃(令和8年4月施行)
- 大学の修学支援新制度の多子世帯拡大(2025年度〜継続)
- 児童手当の高校生年代への延長(2024年10月〜継続・定着)
「なんとなく補助が増えた気がする」という感覚がある方も多いですが、どの制度が・誰に・いくら適用されるかは制度ごとに大きく異なります。この記事では2026年10月2日時点の制度を一覧でまとめ、家庭ごとの影響を具体的に解説します。就学支援金は授業料の一部補填であり、入学金・施設費・教材費・通学費は対象外です。授業料以外まで家計負担がなくなる制度ではありません。
改正①:就学支援金の所得制限撤廃(令和8年4月施行)
何が変わったか
高校授業料を補填する「高等学校等就学支援金」は、2026年4月(令和8年度)から所得制限が撤廃されました。
改正前:モデル世帯の目安で年収約910万円以上は対象外 改正後:所得制限は撤廃(国籍・在留資格の要件は残る。申請が必要で、手続きなしで全員が受け取れるわけではない)
支給上限額(令和8年4月施行・改正後)
| 学校区分 | 月額上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
| 私立高校(全日制) | 38,100円 | 457,200円 |
| 公立高校(全日制) | 9,900円 | 118,800円 |
| 国立高校(全日制) | 9,600円 | 115,200円 |
| 私立高校(通信制) | 28,100円 | 337,200円 |
根拠:「高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第88号)」、文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」
家庭への影響
年収の区切りは、改正前の市町村民税所得割をモデル世帯(両親のうち一方が働き、高校生と中学生がいる世帯など)に当てはめた目安です。法律そのものに「年収○○万円」とは書かれていません。
- モデル世帯で年収約910万円以上:改正前は対象外。2026年4月以降は、国籍・在留資格の要件を満たして申請すれば、私立高校全日制は月38,100円、公立高校全日制は月9,900円を上限に、授業料の範囲で充当され得ます。申請がなければ補填されません
- モデル世帯で年収約590万円未満:改正前の私立高校は加算があり、上限は月33,000円(年396,000円)でした。2026年4月以降の私立全日制の上限は月38,100円(年457,200円)です
- モデル世帯で年収約590万〜910万円:改正前の私立高校は加算がなく、上限は月9,900円(年118,800円)でした。2026年4月以降は、私立全日制でも月38,100円まで上がり得ます
支給に要する費用の負担は、改正前の国の全額負担から、国が4分の3、都道府県が4分の1に変わりました。保護者が受け取る上限額とは別の話です。
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通知)」令和8年3月31日
注意:就学支援金は「授業料のみ」対象
就学支援金で補填されるのは授業料のみです。以下は対象外です。
- 入学金・施設整備費
- 教材費・制服代
- 通学費・給食費・修学旅行費
- 塾代・習い事費用
「私立高校が無償化された」という表現をするメディアもありますが、授業料以外の費用は全額自己負担です。所得制限がなくなったことを、「条件なしで全員が受け取れる」という意味では捉えないでください。文部科学省のQ&A(2026年4月時点)では、日本国内に住所を有し、日本国籍または所定の在留資格等がある人が対象です。教科書代・学用品費など授業料以外には、所得要件のある高校生等奨学給付金が別制度・別申請としてあります。
改正②:大学の修学支援新制度の多子世帯拡大(2025年度〜)
何が変わったか
高等教育の修学支援新制度(いわゆる大学無償化)は、2025年度から扶養子3人以上の多子世帯は所得の線引きなく授業料等減免の対象になりました。2026年10月2日時点も、この枠組みが続いています。上限を超える授業料や施設費まで消える制度ではありません。
改正前:世帯年収約380万円未満(住民税非課税〜準ずる世帯)のみ対象 改正後:多子世帯(扶養子3人以上)は所得の線引きなく対象に追加(上限・資産・学業の要件あり)
所得の線引きがないことと、授業料の全額や施設費まで家計負担がなくなることは別です。日本学生支援機構の案内では、多子世帯でも資産の合計が3億円以上の場合は対象外になり、5,000万円以上3億円未満の場合は授業料等減免の対象でも給付型奨学金は支給されません。学業基準もあります。自動適用ではないため、申請が必要です。私立大学の授業料が年70万円を超える分は自己負担です。
支援内容(多子世帯・授業料等減免の上限)
| 区分 | 授業料減免上限(年) | 入学金減免上限 |
|---|---|---|
| 国公立大学 | 約54万円 | 約28万円 |
| 私立大学 | 約70万円 | 約26万円 |
給付型奨学金も、支援区分に応じて併給される場合があります(自宅通学・自宅外通学で金額が異なる)。第4区分を超える多子世帯などは、授業料等減免のみで給付奨学金は支給されないことがあります。
対象になる「多子世帯」の条件
- 扶養する子どもが3人以上(判定時点の扶養状況による)
- 大学等に在学する子どもが対象校に在籍していること
- 毎年、住民税情報で再判定される
日本学生支援機構の案内では、令和8年度住民税を用いる判定から、学生世代(19〜22歳、18歳の早生まれを含む)で年収123万円超160万円以下の人も、申告により多子世帯の「子ども」に数えられる場合があります。年収160万円超は対象外です。詳細は日本学生支援機構「多子世帯支援について」で確認してください。
子ども2人の家庭は多子世帯特例の対象外です。通常の所得基準(年収約380万円以下)での申請は引き続き可能です。施設費・教材費・通学費は減免の対象外です。
改正③:児童手当の高校生年代延長(2024年10月〜・定着)
何が変わったか
2024年10月から児童手当の支給対象が中学生まで→高校生年代(18歳到達後の最初の年度末)まで延長されました。所得制限も撤廃され、2026年4月時点でもこの仕組みが続いています。
2026年10月2日時点の支給額
| 年齢 | 第1・2子 | 第3子以降 |
|---|---|---|
| 0〜2歳 | 月15,000円 | 月30,000円 |
| 3歳〜高校生年代 | 月10,000円 | 月30,000円 |
支給頻度:年6回(偶数月)
高校生が増えた場合の家庭への影響
子どもが高校生1人いる家庭では、旧制度(中学生まで)と比較して年間12万円(月1万円×12か月)の追加支給を受けられます。
子どもが2人とも3歳以上で第1子・第2子なら、合わせて年24万円です。0〜2歳が含まれると、その子は月15,000円(年18万円)です。第3子以降の算定が含まれると、その子は月30,000円(年36万円)です。
2026年度:3制度の対象者早見表
| 制度 | 対象者 | 年収制限 | 上限額(年間) |
|---|---|---|---|
| 就学支援金(私立高校全日制) | 高校在籍者の保護者 | 撤廃(2026年4月〜)。国籍・在留資格の要件と申請が必要 | 457,200円(授業料のみ) |
| 就学支援金(公立高校全日制) | 高校在籍者の保護者 | 撤廃(2026年4月〜)。国籍・在留資格の要件と申請が必要 | 118,800円(授業料のみ) |
| 修学支援新制度(通常) | 大学等在籍者 | 年収約380万円未満が目安 | 授業料・入学金の減免+区分により給付奨学金 |
| 修学支援新制度(多子世帯) | 扶養子3人以上 | 所得の線引きなし(資産・学業要件あり。上限あり) | 授業料・入学金の減免(上限あり)+区分により給付奨学金 |
| 児童手当 | 高校生年代までの子を持つ保護者 | 撤廃(2024年10月〜) | 3歳以上の第1・2子は年12万円(0〜2歳は年18万円)。第3子以降は年36万円 |
よくある誤解 Q&A
Q. 就学支援金の所得制限撤廃で、授業料の自己負担はゼロになった?
A. なりません。就学支援金は授業料のみを補填する制度です。文部科学省「子供の学習費調査」令和5年度版(令和8年1月16日訂正)では、私立高校(全日制)の年間学習費総額は平均1,179,261円です。就学支援金で賄えるのは授業料部分(上限457,200円)までです。入学金・施設費・教材費・通学費は全額自己負担のままです。
Q. 子ども2人でも大学の修学支援の対象になれる?
A. 通常の所得基準(世帯年収約380万円未満が目安)を満たせば対象になります。所得の線引きがない多子世帯の特例は、扶養子3人以上の世帯のみです。上限を超える授業料と施設費などは対象外です。
Q. 就学支援金と東京都の授業料支援は別物?
A. 別制度です。東京都は独自の私立高校授業料支援を持っており、国の就学支援金と都の補助金を合算することで授業料の自己負担が小さくなるケースがあります。ただし都道府県によって上乗せ補助の有無・金額は異なります。入学金・施設費は対象外です。
Q. 児童手当の高校生分はいつから受け取れる?
A. 2024年10月支給分(8・9月分)から対象になっています。すでに手続き済みの方は自動的に支給されています。まだ手続きしていない場合は居住地の市区町村窓口で申請が必要です。
Q. 制度改正で申請のやり直しは必要?
A. 2026年10月2日時点で、4月の改正のために全員が申請をやり直す段階ではありません。就学支援金は学校経由で、学校から案内が届きます。児童手当は既存受給者は自動継続です。修学支援新制度は毎年、在学校経由で手続きが必要です。
あなたの家庭の実質負担額をシミュレーション
就学支援金を差し引いた後の実質負担は、年収・人数・学校種で変わります。
登録不要・5分で完了
出典・参考資料
- 文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通知)」令和8年3月31日
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」
- 文部科学省「子供の学習費調査」令和5年度版(令和8年1月16日訂正)
- 日本学生支援機構「多子世帯支援について」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」